四海鏡

漫画と音楽と妖怪とトマトジュースが好きです。

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石ノ森章太郎デジタル大全 第1巻0円セールで幻魔大戦シリーズを読もう!

もう終了予定日まで一週間を切ってしまいましたが……。
石ノ森章太郎生誕80周年記念の一環で、講談社から電子書籍石ノ森章太郎デジタル大全」としてリリースされてる作品群の第1巻が、来月2月1日(木)まで、なんとオール0円!
……0円って! 無料だよ! タダだよ、タダ!
amzn.to

『009ノ1』『番長惑星』『流れ星五十三次』『ブルーゾーン』『さんだらぼっち』『仮面ライダーBlack』『HOTELチョンマゲ版 HATAGO<旅籠>』も、第1巻は全てタダですよ、奥さん!
(石ノ森先生の代表作というよりかは、個人的に好きな作品のタイトルをあげさせていただいております)

デジタル大全は10年以上前に角川書店から出た「石ノ森章太郎萬画大全集」が底本になっていまして。
萬画大全集をヒーヒー言いながら全期購入した身としては、今までデジタル大全は積極的に買ってはいなかったんですね。仕事の資料で必要になった時などに、外出先にタブレットでも仕事場のPCでもチェックできるということで、何冊か購入した程度で。
いやー、今回のセールを機会に、40冊ほど買いまくってしまいましたわ(それでも対象作品の約半数!)。

まあ石ノ森作品なんて、どれもこれも面白いんですが、ちょうど現在、上野の森美術館「生賴範義展 THE ILLUSTRATOR」も開催中なので、生賴画伯と縁も深い幻魔大戦シリーズから読み始めております。

幻魔大戦」というタイトルだけだと、キャラデザを大友克洋が担当した(そして音楽をキース・エマーソンが担当した)、1983年公開のりんたろう監督によるアニメ映画のイメージが強い人も多いかと思われますが。
Amazon.co.jp | 『幻魔大戦』[Blu-ray]

原作は、1967年から「週刊少年マガジン」で連載された、石ノ森先生とSF小説家・平井和正先生による完全共作(石ノ森先生も連載時は「いずみ・あすか」名義でストーリー製作に参加)で生み出された、終末侵略SFコミックの大傑作です。
Amazon.co.jp | 石ノ森章太郎『幻魔大戦』第1巻
この作品、有名すぎるラストシーン「月が……!!」を見ても分かる通り、見事な打ち切りなわけですが、その後の石ノ森先生・平井先生それぞれの作品群に、大きな影響を与えているのは間違いないでしょう。
60年代の作品ということで、絵柄的に読み慣れない人もいるかもしれませんが、必読でしょう。


で、今回のセールでは最初の『幻魔大戦』だけでなく、その後に石ノ森先生と平井先生が原作/漫画分業で新たに紡いだ『新幻魔大戦』、そして石ノ森先生が単独で挑んだリュウ版『幻魔大戦』(神話前夜・髑髏都市)も、第1巻なら当然オール0円なわけです!

リュウ版『幻魔大戦』(神話前夜・髑髏都市)は、SFコミックの傑作を多数排出した漫画雑誌「リュウ」(現在の「月刊COMICリュウ」の誌名の元ですね)にて、石ノ森先生が単独で執筆した作品。
Amazon.co.jp | 石ノ森章太郎『幻魔大戦』第1巻(神話前夜の章)
『原始少年リュウ』などでおなじみ、石ノ森流ポスト・アポカリプス原始世界の描写と、あまりに唐突すぎて呆気にとられる暇もない打ち切り最終回が、存分に堪能できる石ノ森フリークなら必ず押さえておきたい1冊です。


さてさて、『新幻魔大戦』の方は、石ノ森作品群のなかでは、ちょっと不思議な作品ながら、幻魔大戦シリーズのなかで見ると、とても重要な位置にある作品でして。
Amazon.co.jp | 平井和正/石ノ森章太郎『新幻魔大戦』第1巻
前述の通り、最初の『幻魔大戦』と異なり、本作は原作/漫画の分業で執筆されており、平井先生は小説形式の原作を用意し、それを石ノ森先生がコミック化するという企画だったのですが。途中から(たぶん石ノ森先生の多忙からの、苦肉の策だと思うんですけれど)平井先生の小説形式のテキスト+石ノ森先生のイラストという、まるで絵物語のようなページが多くなり、後半になると、ほぼ原作のテキストがメインになっていくんですね
そして続きが気になるところで未完を迎え……。

そんな特殊な形態ということもあって、10年以上前に初めて読んだ際は、読み進めるのに苦労した記憶があったのですが。改めて読むと、いやーなかなかに面白いですね。
人類文明破滅寸前の近未来から江戸時代へのダイナミックな舞台移動、そして重要キャラとして由井正雪転びキリシタン沢野忠庵の登場と、時間改変SFとしても伝奇SFとしても楽しめます。

さて、未完というかたちで「S-Fマガジン」での連載が途絶えた後、平井和正先生は小説として改めて「新幻魔大戦」を出すんですけれども(表紙は当然、生賴画伯のイラスト!)。
Amazon.co.jp | 平井和正『新幻魔大戦』
後に平井先生が最初の『幻魔大戦』を単独で小説化した作品が、途中からベースとなるコミック版とは完全に別モノになっていったのに対して、『新幻魔大戦』は石ノ森先生にコミック/絵物語の原作として渡していたものと、同テキストを使用しています。

ただ、コミック版『新幻魔大戦』第2巻には、超能力によって敵の女性キャラの身体が崩壊・腐敗していく様子を描いた文章の途中、唐突に「ああ キモチ悪いもうやめた!!」という脈絡のない一文が入っているんですけど、これは小説版には存在しません。
この「ああ キモチ悪いもうやめた!!」は、平井先生が物語の内容とは関係なく原稿用紙に走り書きしたものを、石ノ森先生もしくは担当編集さんが、普通に拾ってしまい、写植を打って本文に入れちゃった結果なのである……と自分は耳にしております(平井先生でなく石ノ森先生自身の言葉という説もあるそうですが)。

でまあ、それはともかく、じつは『新幻魔大戦』って(タイトルに「新」とあるのに反して)平井和正先生が小説で執筆を続けた幻魔大戦シリーズの、起点となる作品なんですね。
そしてストーリーは小説版もコミック版も、ほぼ同様ですので、幻魔大戦シリーズに興味ある人は、読みやすいコミック版から入るのもアリかと(まあ途中からテキストメインの絵物語みたいな形式にはなりますが)。
……何と言っても、来月1日まで0円だし。無料だよ! タダだよ、タダ!(重要な事なので2回目となります)

あと、このデジタル大全の『新幻魔大戦』ですが、旧作『幻魔大戦』の「週刊少年マガジン」での連載から年月が経っていたということで、「S-Fマガジン」での連載前に掲載された「幻魔大戦・抄」というダイジェストを収録しています。これは角川の萬画大全集にも入っていたものですね。
たぶん文庫とかで出た紙の本には入ってないんじゃないかな? 底本が全集として刊行されたものなので、そこらへんはしっかりしていてナイスですね。


……そして、ここからが2018年の現在、重要なことなのですが。
平井先生と石ノ森先生の跡を継いだ幻魔大戦シリーズの最新作として、七月鏡一/早瀬マサト『幻魔大戦 Rebirth』が「サンデーうぇぶり」にて連載中なのですが。
これ、石ノ森ファン(あるいは幻魔大戦シリーズ愛読者)としては、しっかり応援しなければいけない作品ですよ、マジで。
Amazon.co.jp | 七月鏡一/早瀬マサト『幻魔大戦 Rebirth』

平井先生と石ノ森先生が世に出した最初の『幻魔大戦』。
『新幻魔大戦』を物語の起点とする、平井和正先生の筆による小説による幻魔大戦シリーズ。
さらに石ノ森章太郎先生単独作となるリュウ版『幻魔大戦』(神話前夜・髑髏都市)。
さらには、他の石ノ森ワールドまでをも、見事に融合させている本作、冗談抜きで必読です。

幾多の打ち切り・未完を経て、ついに『幻魔大戦 Rebirth』にて、人類と幻魔の時空を超えた戦いのラストが見れる……のかも……しれない……!?